珊瑚の買取について

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仏教の七宝の一つにも数えられるように珊瑚は古来より貴重な宝物として扱われてきました。
日本では子宝や長寿のお守りとして親しまれ、日本で本格的に採取が始められた明治以前は海外から入ってきたものが使用されていました。
世界各国でも古来より航海や魔除けのお守りなどとして親しまれております。
また、国によっては薬として、カルシウムが不足しがちな地域では補給用食品としても使用されてきました。



宝石学としての珊瑚

珊瑚は鉱物ではありません。
大まかに言うと動物である珊瑚虫の骨格になります。 珊瑚虫が成長する過程においてその骨格である珊瑚も成長していきます。
この珊瑚には造礁珊瑚と宝石珊瑚の2種類があります。

造礁珊瑚
六放珊瑚という動物が作り出します。
成長の過程で太陽光を必要とするため水深50mぐらいまでの浅く、それも暖かい地域に生息します。早いものでは1年に10cmほども成長します。
アラゴナイトからなる炭酸カルシウムで作られ、全体的に細かな穴が開いており硬度が低く柔らかいため宝石には向いていません。
近年良く耳にする『サンゴを守ろう!』というのはこちらの造礁珊瑚のことで現在は一部の地域を除き採取が禁止されています。

宝石珊瑚
八放珊瑚という動物が作り出します。
太陽光が届かない水深100m以上の深海に生息し、成長が非常に遅く1cm成長するのに数十年かかります。
カルサイトからなる炭酸カルシウムで作られている為、造礁珊瑚とくらべると固く、磨くとツヤがでるため宝石に使用されます。
前述のように宝石珊瑚は非常に成長が遅いため枯渇が心配されています。
そこで宝石珊瑚で有名な高知県等は漁の期間や量を決めて資源を枯渇させないようにしています。
しかしながら2013年あたりから中国漁船による密輸が横行し始めました。多い時には200隻以上の漁船が密漁を行い、密漁が行われた海底は砂漠化しました。


宝石珊瑚の種類と産地

赤珊瑚
赤~赤黒い色で日本近海で採取され研磨したものは独特の透明感があり、世界的にも人気があります。
特に土佐湾沖の水深100~300mの海底から採取される赤黒い『血赤珊瑚』は希少で、海外でも『オックスブラッド』と呼ばれ品質の良いものは非常に高額で取引されています。
特徴としては『フ』と言われる白い模様が原木の中心部を通っています。

血赤珊瑚


紅珊瑚(地中海珊瑚)
赤~赤黒い色で『胡渡珊瑚』や『サルジ』とも呼ばれています。
イタリア、フランス等地中海沿岸に生息し、色合いは赤珊瑚に似ていますが水深50m程の浅瀬から採取され、成長も早いのが特徴です。
あまり大きく成長せず、赤珊瑚にみられる『フ』が無いため色ムラも少ないのですが、硬度が低く、赤珊瑚のような独特の色や透明感はありません。
日本の赤珊瑚が知れ渡る明治以前は赤系の珊瑚と言えばこの紅珊瑚でした。

紅珊瑚


桃色珊瑚
色ムラがある桃色珊瑚の指輪やネックレスは殆どお値段になりませんが素晴らしい細工が施された帯留めやブローチはある程度の金額となります。
また、『エンジェル・スキン(本ボケ)』といわれる色ムラが無く薄いピンク色の珊瑚は西洋では血赤以上に好まれ非常に希少性が高いため高額で買取が可能です。

桃色珊瑚


黒珊瑚
こちらは宝石珊瑚ではなく六放珊瑚となります。
他の造礁珊瑚と同様に採取が禁止されていますが許可を受けたハワイの漁師のみ採取が許されております。
現在は輸入禁止品目になったため日本で流通しているものは中古品や以前に輸入されたものとなります。

その他の珊瑚
スポンジ珊瑚、白珊瑚、深海珊瑚、等他にも色々な珊瑚がありますが中古でのお値段は殆どつかないため割愛致します。


珊瑚のお取り扱いについて

珊瑚は真珠と同様に炭酸カルシウムでできているため汗や香水に弱いものです。ご使用後はジュエリークリーナー等の薬品は使用しないで柔らかい布でふき取って下さい。
硫黄に弱いため温泉につけたりしないでください。
また、高温にも弱いので保管の際はジュエリーボックスに入れて直射日光があたらない場所で保管して下さい。
モース硬度は3.5と低いため他のジュエリーと擦れると簡単にキズが付くためご注意下さい。


珊瑚の買取の際の査定基準

珊瑚には様々な種類がありますが買取の際にある程度のお値段になるのは下記のものとなります。

赤珊瑚
赤黒い血赤珊瑚がもっとも人気があり鮮明な赤よりもドス黒い赤で黒っぽくなるほうが高額となります。
全体的にみても色ムラが無く、赤珊瑚の特徴でもある『フ』も無い方が高額となりますのでそれを避けるようにカットされます。
ただ、殆どの場合は可能な限り大きくカットするためにある程度は残ります。
『フ』が残っている場合は指輪ならリングの台との境目にしたりと目では見えないところにセットする必要があります。
また、赤珊瑚は深海で高い水圧がかかっていますので水揚げされることによってかかっていた圧力が一気に下がります。そのため場合によっては『ヒ』と呼ばれるひびが生じることがありますがこちらも減額となります。

大きさは大きければ大きいほど良いのですが、形が丸玉でないとあまり希少性はありません。
というのも珊瑚の軸に沿ってカットをすればある程度大きな平らなものが取れるからです。
逆に丸玉は最大でも原木の直径までしか取れません。そのため余程太い原木でないかぎり大きなものは取れないため希少なものとなります。
ですので直径15mm以上の丸玉で質が良いものはかなりの高額で買取ができます。

色ムラ

赤珊瑚の『フ』と『ヒ』

大きく見えるが平べったい珊瑚


紅珊瑚
赤珊瑚同様に色ムラが無く赤黒いものが高額となります。
大きさも大きいほど高額となりますが紅珊瑚自体が大きく成長しないため数珠のネックレス等が一般的な製品となっております。
また、赤珊瑚のような希少性はないため赤珊瑚の製品と比べると同じ赤黒いものでも買取金額はお安くなります。

桃色珊瑚
色ムラがある桃色珊瑚の指輪やネックレスは殆どお値段になりませんが素晴らしい細工が施された帯留めやブローチはある程度の金額となります。
また、『エンジェル・スキン』(日本では本ボケ)といわれる色ムラが無く薄いピンク色の珊瑚は西洋では血赤以上に好まれ非常に希少性が高いため高価買取が可能です。逆に本ボケ以外の桃色珊瑚は買取ができないものごございます。

エンジェルスキンのブローチ




黒珊瑚
彫刻や指輪等は殆どお値段になりません。
ただ、ネックレスやバッグ等は不祝儀での需要があるため低額ではありますが買取が可能です。
以前によく販売されていたハンドバッグとネックレスのセットは未使用品で2,000~5,000円くらいとなります。

黒珊瑚のバッグ



GIA-G.G 鴫原 武義


主な取扱い宝石