オパールの買取について
10月の誕生石
14周年結婚記念石
オパールのように一つの石から多種多様な色を放つ宝石は他にありません。
一つの石から様々な色が発色されるこの不思議な宝石は古代の人々にとっては神々しいものだったことでしょう。
古代ローマの大プリニウスは著書でオパールのことを『カーバンクル(ルビーやガーネット等の赤い石)のように輝く炎の色、アメジストのまばゆい紫色、エメラルドの海緑色の全てが信じがたく一体となって輝く石』と現しています。
古代アラブではオパールは稲妻の閃光が天国から落ちてきたので燃えるような輝きをしていると信じられ、古代ギリシャではオパールはその持ち主に洞察力と予言の才能を与え病気から守ってくるものとして親しまれてきました。そして、中世ヨーロッパでは強い魔力を秘めたお守りとして重宝されてきました。
オパールに対する主な処理
樹脂含浸
有色樹脂を含侵させて色を変えます。ブラックオパールのような見た目にするのが一般的ですが青や緑等もあります。
砂糖液浸漬
砂糖液につけてオパールを炭化処理させブラックオパールのような見た目にします。
充填
割れ等に樹脂を流し込み見た目を透明感のあるものにします。
貼り合わせ
薄いオパールとプラスチック等を重ねて厚みのあるものにします。2層のものをダブレット、3層のものをトリプレットと言います。
オパールの生成過程とお取り扱いについて
他の宝石が地中深くで生成されるのに対しオパールは独特の過程で生成されます。
シリカ(SiO2)を含んだ雨水や地下水が岩等の窪みに溜まりそれが蒸発、さらにシリカを含んだ水が溜まり蒸発、とそれを数十万年と繰り返しシリカの層が堆積してオパールになります。
そのためブラックオパールで約5%、メキシコオパールで12%ぐらいの水分を含んでおります。
採掘されたオパールは太陽の元で十分に乾燥させ、割れないで残ったもののみを宝石として出荷します。
この乾燥が不十分だったオパールや元々水分の含有量が多いメキシコオパール等は高温になりやすい乾燥した場所で長期保管した場合は割れることがあります。
ですので長期間の保管の際は念のため湿った布等と一緒に保管する等、ある程度湿度があるところで保管してください。
また、最近エチオピア産オパールも良く見かけますがこちらは更に注意が必要です。
エチオピア産オパールは18%もの水分含有率がありますので乾燥に対しては他のオパールよりも更なる注意が必要です。
また、エチオピア産は吸水性がありますので色が付いた水分を吸収してしまうとオパールの色が変わってしまいますのでご注意下さい。
オーパールのモース硬度は5.5~6.5と柔らかいため他の宝石と一緒に保管しないでください。
汚れた場合は超音波洗浄機は使用しないで柔らかい布で拭いて下さい。
オパールの種類と産地
オパール独特の色々な色を発する効果を遊色効果またはプレイオブカラーと言います。
この遊色効果があるオパールをプレシャスオパール。
遊色効果が無いオパールをコモンオパールと言います。
プレシャスオパールをさらに細かく分類するとたくさんの種類がありますが買取でお値段が付く主なオパールは下記の通りとなります。
コモンオパールの
ペンダント
・ホワイトオパール
主な産地:オーストラリア(クーバーペディ)
地色が白色のオパールでライトオパールとも言います。
オパールの中でも一番流通量が多いためオパールと言えばこの石を思い出すかもしれません。
ホワイトオパール
・ウォーターオパール
主な産地:メキシコ
地色が透明なオパールでクリスタルオパールとも言います。
透明なため石の反対側まで透けて見え、まるで水玉のような見た目です。
ウォーターオパール
・ファイアオパール
主な産地:メキシコ
地色がオレンジ色のオパールでメキシコオパールとも言います。
透明度もホワイトオパールと比べるとある程度あります。
ファイアオパールにはプレシャスオパールとコモンオパールがあります。
ファイアオパール
・ブラックオパール
主な産地:オーストラリア(ライトニングリッジ)
地色が黒色のオパールです。
黒色の為遊色効果がハッキリと出やすいのが特徴となります。
発見されたのが1902年頃と比較的歴史の浅い宝石ですが近年採掘量が減少してきているため高額となることが多いです。
・ボルダーオパール
主な産地:オーストラリア(クイーンズランド)
ブラックオパールと同じ見た目なのですがブラックオパールが底部までオパールのみなのに対しボルダーオパールは母岩(鉄鉱石等)にオパールの層が載ったものを母岩ごと宝石にしたものです。
見た目は同じようなものですが同品質のブラックオパールと比べてかなりお安くなります。
鉄鉱石を母岩とする
ボルダーオパール
オーパールの買取の際の査定基準
オパールの買取の際の査定基準はオパールの種類、遊色効果、クラリティ、形によって決まります。
オパールの種類
同等の品質の場合、ブラックオパールが一番高額でホワイトオパールが低額となります。
その中間にウォーターオパール、ファイアオパール、ボルダーオパールが横並びで入ります。
遊色効果
先ずはどのようにして遊色効果が出るのかを簡潔にご説明致します。
前述した通りオパールはシリカが堆積して出来た宝石です。そのシリカの粒子が規則正しく並んだ部分だけが遊色(宝石業界では『ハン』と言います)を発します。
そしてハンの色は粒子の大きさによって変化し、大きさの順に【赤→オレンジ→黄→緑→青→紫】と発色します。
つまり、安定した状態で生成された場合のみ大きな粒子が規則正しく並び赤色のハンが出ます。そのため赤やオレンジのハンは出難く逆に青や紫のハンは出易くなっています。
以上のことよりどの角度から見ても石の表面全体的にハンが出るものが高評価、所々にしか出ないものは低評価、赤のハンがクッキリと出るものは高評価、青や紫のみの場合は低評価となります。
そして、ハンの配置のされかたでも評価が変わります。下記の様なものは代表的な配置の名称で高評価となります。
・ピンファイア
細かなハンが全体的に現れているもの
・フラッシュ
特定の角度で見ると大きなハンが現れるもの。ハンが大きいためカメラのフラッシュのような煌めきが見えます。
・ハーレクイン
四角いハンが全体的に敷き詰められたような独特の見た目。現在では非常に少なくなっており高額となります。
写真:creative commons
クラリティ
石のキズ等の状態ーカン・ウインドウ・ポッチによってもお値段が変わります。
・カン
ヒビ、割れのことです。
衝撃でカンが生じたものもあれば熱や乾燥によって生じたものもあります。
衝撃で生じた表面だけのものは研磨をすれば取れますが、熱や乾燥によるものはその後他の部分にも生じる可能性があるため宝石としてのお値段は付けられません。
そのためこのような場合、買取の金額は使用されている金やプラチナ等の貴金属とダイヤのみのお値段となります。
・ウインドウ
全体的にハンが出るのが上質なオパールの条件なのですが一部だけにハンが全く出でないことがあります。
これをウインドウと言い評価が下がります。
・ポッチ
オパールに含まれている母岩のことです。
ポッチの部分は透明度も無くハンも出ないため見た目を大きく損ねます。そのため評価が下がります。
形
オパールはカボションカットが普通ですが、その厚みが重要です。
シリカが堆積して生成されるので厚みのあるオパール程評価が高くなります。
上記を総合して買取価格が算出されます。
また、処理を施されたオパールや貼り合わせオパールはお値段は付けられませんので、その場合はジュエリーに使用されている金・プラチナの貴金属やダイヤの金額での査定額となります。
GIA-G.G 鴫原 武義