トルマリンの買取について

10月の誕生石
8周年結婚記念石

●16世紀、スペインからの征服者はブラジルで緑色の石『エメラルド』を発見ししました。それが『ブラジリアン エメラルド』と呼ばれヨーロッパに輸入されました。
●14世紀に制作され、チェコ王室の戴冠式に代々使われていた王冠には中央に100キャラット近い『ルビー』が使用されています。
●ロシアのロマノフ王室には世界最大のルビーで作られた『いちごの彫刻』というものがありました。これはロマノフ王室の家宝として大切にされてきました。

実は上記の宝石全てがトルマリンだったと後に判明したのです。
様々な色や見た目が存在するこの鉱物は1800年代に科学者により『トルマリン』と定義されるまで色々な他の宝石と混同されていました。



鉱物学としてのトルマリン

トルマリンは鉄・アルミニウム・ナトリウム・リチウム等を成分として30種類以上のグループがあります。その中で宝石として流通しているものは殆どがエルバイトですがリディコータイトやドラバイトもあります。厳密に区別するのは困難なため色によって様々な呼び名がつけられています。
冒頭でルビーと間違えられたトルマリンはルベライトでエメラルドと間違えられたトルマリンはグリーン・トルマリンです。
そしてスイカのような見た目のウォーターメロン・トルマリン。ネオンブルーに輝くパライバ・トルマリン等たくさんの種類があります。
また、珍しい性質を持った宝石で、加熱をすると帯電する『焦電性』と、圧力をかけると帯電する『圧電性』を持っています。そのため和名では電気石と呼ばれています。
熱いところにトルマリンのジュエリーを置いておくとホコリがついているのはこの性質によるものです。
そのため、「トルマリンはマイナスイオンを発するので体に良い」といって売りに出されていることもありますが、これについては医学的根拠は無いようです。


トルマリンへの処理

加熱、照射が行われることがあります。鑑別機関でも加熱や照射処理の有無は判別できませんので加熱処理はされているものと思ってください。その一方、ウォーターメロン・トルマリンや1石に2色が混在するバイカラー・トルマリンの殆どは処理されておりません。
また、稀にフラクチャー(宝石内部の割れ)等のキズを目立たたなくするために無色透明材の含侵処理が行われていることがありますが、こちらの処理はルーペや顕微鏡でも処理の有無が判別できます。


トルマリンの産地

ブラジル、マダガスカル、モザンビーク、ナイジェリア、スリランカ、タンザニア等が主な産地です。


トルマリンのお取扱いについて

『焦電性』という熱を持つとホコリを引き寄せる性質を持っていますのでジュエリーケースの中などに保管してください。
ただ、モース硬度は7~7.5とトパーズ等より低く少々キズが付きやすいため他のジュエリーとは一緒に保管しないようにして下さい。
また、
照射処理されたトルマリンは紫外線や日光によって色褪せる場合がありますのでご注意ください。
汚れた場合、超音波洗浄機にかけるとフラクチャ(ヒビ)が生じる可能性がありますので中性洗剤とぬるま湯で洗ってください。


買取の際のトルマリンの査定基準

トルマリンには色々な種類がありますが高価買取できるのはパライバ・トルマリン、インディゴライト、ルベライトになります。

パライバ・トルマリン
1987年にブラジルのパライバ州で美しいネオンカラーのパライバ・トルマリンが発見されました。
1989年、アメリカのツーソンで行われる世界最大の鉱物展で出品されるやいなや世界中から来たバイヤーの噂になります。そして鉱物展の最終日には初日の20倍以上の金額になりました。このことは宝石業界では大ニュースで、その後日本にも多くの美しいパライバトルマリンが入ってきました。しかし残念ながら僅かしか産出されず、1年程でほぼ枯渇しました。
その後は近くのリオグランデ・ド・ノルデ州やナイジェリア、そしてモザンビークからも産出されるようになります。

ネオンカラーが美しい
パライバ・トルマリン


パライバ州の産出ではなくてもパライバ・トルマリンなの?と思うかもしれません。以前はパライバ州から産出されたもののみがパライバ・トルマリンというべきだという意見も業界内でも多くありました。しかし国際的な主要宝石鑑別機関によって構成される組織で『銅を含有する青から緑色のトルマリン』のことをパライバ・トルマリンと定義されて以降、この条件に当てはまる石はすべてがパライバ・トルマリンとなります。そのためパライバ・トルマリンだからといって全てが美しいわけではありませんし、高額になるわけでもありません。
色石全般にいえることですがパライバ・トルマリンで最も重要なのは色です。
彩度(色の鮮やかさ)が高く、明るさがないところでも独特のネオンカラーによって輝いて見えるものがのが高額となります。色味は僅かに白味がかった青『ウィンデックスブルー』が最も人気があり高額となります。 このような色のパライバ・トルマリンはブラジル産に多くみられるものですが、鑑別書の産地鑑別に『ブラジル産』と明記されることによりさらに高額とになります。
また、薄い青緑色でネオンカラーが見られない大粒のパライバ・トルマリンを良く見かけますが、これはアフリカ産のトルマリンに良く見られる特徴で、上記のブラジル産の高品質のものと比べると10分の1以下の金額となります。
キズはもちろん少ない方が良いのですが、キズが少ないアフリカ産と異なりブラジル産の殆どは多くのキズがあります。ですのでトルマリン内部のキズによって宝石内部から湧き出てくる光を遮らないのでしたら問題ありません。逆にブラジル産でキズが無いパライバ・トルマリンですととても希少なものですので驚くような高額になります。

インディゴライト・トルマリン
深い青色のインディゴライト・トルマリンはトルマリンの中ではパライバ・トルマリンについで希少・高価な宝石です。
見る角度によって色が変わる『多色性』が強く結晶軸に沿って見ると明度が低く黒っぽく見えます。そのためカット職人は程良い色に見えるように工夫してカットします。
色の鮮やかである彩度は高い方が良いのですが色が濃くなると明度が低くなりがちなためある程度の彩度と明度のバランスが取れているものが高額となります。
色相は緑色が混ざりがちですが緑味が少なく青色が強いほどが高額となります。

ルベライト
以前はルビーと勘違いされていたルベライトもインディゴライトに次いで人気があります。
産地によって色の特色がありブラジル産は雑味のない美しい赤が多く産出されます。その一方、アフリカ産は黄色・褐色味が混ざっている割合が多くなります。
人気なのはやはり褐色味が混ざっていない雑味の無い赤となりピジョンブラッドのルビーのような赤色は高額となります。

褐色味のあるルベライト(左)
ルビーのようなルベライト(右)


グリーン・トルマリン
彩度が高い鮮やかな緑で明度も高めなものが高額になります。
茶色味がかったものは減額となりますが青みがかったものは好みの問題となり減額とはなりません。
また、同じ緑色のトルマリンでクロム・トルマリンがあります。
グリーン・トルマリンの発色要因が鉄なのに対しクロム・トルマリンはバナジウムやクロムによって緑色に発色します。深い緑色が特徴のクロム・トルマリンなのですが深い色味の分、黒っぽくなりがちです。クロム・トルマリンは深い緑色ながらも暗すぎず、さらに輝きもあるものが高額となります。また、クロム・トルマリンの中にはカラーチェンジ・トルマリンというものがあります。この石はアレキサンドライトのように白色灯下では赤色に変色し、希少なことから一般的なクロム・トルマリンよりも高額になります。
キズはグリーン、クロム・トルマリンともに殆ど無いのが一般的ですのでキズが多いものはかなりの減額となります。

グリーン・トルマリン

クロム・トルマリン



トルマリンの種類による価格の違い

トルマリンは宝石の中でも一番種類が多く上記のパライバ、ルベライト、グリーン、クロム・トルマリン以外にも沢山の種類があります。
ただ、上記以外のトルマリンは査定金額をつけられることは殆どありません。
しかしながらバイカラー・トルマリン、ウォーターメロン・トルマリン、ピンク・トルマリン、カナリーイエロートルマリンはある程度の金額になります。
買取の際の金額の大まかな目安としましてはバイカラーやピンク・トルマリンを1とすると、クロム・トルマリン10、ルベライト15、インディゴライト30、パライバ200という感じになります。


GIA-G.G 鴫原 武義


主な取扱い宝石